2022年07月18日
「山田のリアルな飯画展」&「リアルな塗り絵教室」のご報告!
「写実絵師」「めし絵師」としてご活躍中の
山田 めしが 先生 と
和歌の浦アート・キューブとの共催事業の
開催ご報告をいたします
「山田のリアルな飯画展」
開催前夜の設営完了後…
アート・キューブ展示室D1に、100を超える多くの飯画たちが並んでいます
この展示会のサブタイトル「写真ちゃうん?絵なんやいしょ。」の通り…本物のおいしそうな料理の写真にしか見えない
これが全部、ポスターカラーで描かれた絵だなんて
設営作業後の当館スタッフの空腹を刺激する、罪深き飯画たちよ…
終業後のスタッフたちが、急いで帰宅し夕食をがっついたことは言うまでもありません
「飯画」ではない作品もたくさんありました
この下の画像のカワウソさんや「恋するパンダ」(タイトルも最高)などの動物写実画は、今回なんと「飯画」を超えるほどの大人気だったとか
めしが先生の絵は、出来上がった飯画作品だけではなく、その制作工程も必見なのです
圧巻だった動画のひとつが、「キノコのホイル焼き」の調理工程の一部始終を描いたもの。
スーパーで買ってきた袋入りシメジとエノキとマイタケが、めしが先生の手により袋から出され、カットされホイルに包まれ、そしておいしそうにジュワジュワに焼き上がって…
その変化していくキノコの各段階を、先生は逐一写実画として描き留め、それをひとつの動画にまとめたのです。
つまり、キノコの生涯を描いた壮大なる連続画ですね。
さながら…熊野の曼荼羅の中に描かれている、人間の誕生から死までの「人生の坂道」の絵解きを見るかのような感慨をおぼえます。
制作時間は合計で100時間を超えたというその大作、皆さまもぜひ一度YouTube動画でご視聴ください
このブログでは小さな写真でしかご紹介できていない素晴らしい作品の数々は、全てめしが先生がご自身のSNSで公開なさっています。
当館展示会場では「飯画Tシャツ」等の物販はなかったのですが、ご希望の方はwebで購入できるそうです
先生の作品を見ていて気付いたこと。
「卵」の絵が…多い
「卵率」が高い。確実に
思い切ってめしが先生に直撃インタビューしたところ、先生はご自身の「卵愛」を告白してくださいました
「卵は食べるのも、描くのも大好き」と。
確かに飯画のモチーフとして、卵は非常に優れている気がしますよね
「現役の調理師」という、もうひとつの顔もお持ちのめしが先生。
実は今回のインタビュー時、煮卵レシピを先生から伝授していただきました
(飯画展ポスターの右上の絵の、豚角煮の隣にある卵)
あの「煮卵飯画」を「実際の料理」として再現すべく、後日、当館スタッフが調理を実践してみました
このブログの末尾にそのレシピと煮卵画像を掲載しましたので、皆様もぜひお試しくださいませ
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7/1㈮~7/3㈰の会期中、ご来場者はひっきりなし
会場のあちこちで「すごい~」「本物にしか見えない」という感嘆のお声が
そろそろ夏バテによる食欲不振が心配な季節ですが…
会場を後にする時には、皆さま胃袋の動きが活発化されていたのでは
実際会期中は、「近くに飲食店はありますか」と事務所に尋ねてくる方が多かったような。
人々の食欲増進に寄与する有意義な展示会であったと、当館スタッフ一同自負しております
会場には、ゴージャスなぬりえ画材セットも。
先生が用意してくれたものです
同時開催の「塗り絵教室」は、展示最終日の7/3㈰の午後からでした。
この画像は、ワークショップ前に腹ごしらえをする当館スタッフの昼食。
(スーパーで買ってきた天津炒飯withから揚げ)
めしが先生の名刺のすき焼き飯画をオカズにして食べたので、たいへん食が進みました
↓
でもこれ…
並べて写すと、一体どっちが本物でどっちが絵なのか、区別つかないんですけど
本物以上に本物な絵。
本物よりおいしそうな絵。
この上なき写実画であるめしが先生の飯画だけれど…
でも「リアリズム」には、いくらかの「デフォルメ」も内包されているもの。
食材のツヤツヤした質感や、煮汁のトロリとした照り輝きなどを描く際は、実物以上に強調する部分も必要となります。
そうすることで絵は命を吹き込まれ、写真を超えることさえできるのです
先日めしが先生が出演されたテレビ和歌山の番組で、漫画家のマエオカテツヤさんもこうおっしゃっていました。
「そのままではシズル感が出ないから(強調して描く)」
めしが先生もこう答えていました。
「(そうできるのは)アナログならでは」
絵画に精通した人同士の対談で語られた、実に興味深いお話でした
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さて
「山田のリアルな塗り絵教室」
のはじまり
そう、題材はきつねうどん
これが先生の「きつねうどん」飯画作品
受講者の皆様の手元には、教材となる「続 たのしい飯画ぬりえ」が。
きつねうどんのページには、先生のきつねうどん飯画見本と、そしてぬりえ用のデッサンが掲載されています。
先生の飯画はポスターカラーで描かれていますが、このワークショップでは色えんぴつでの着色となります
※募集期間中、お電話でのお問い合わせに対し、「ポスターカラーを使う」と当館側が誤ったご説明をしてしまいました。
お詫びして訂正いたします
色えんぴつは、塗る時の力加減で微妙なニュアンスが出せ、修正もしやすい。
「まずは色えんぴつを使えてこそ、なので」と先生。
ぬりえ入門には必須の画材のようです。
そして、使うのはこの5色のみ
先生ご自身も色えんぴつで飯画を塗る際は、ほぼこの5色しか使わないそうです。
絵の具は「混ぜる」ことによりどんな色でも作れますが、色えんぴつも色を「重ねる」ことで、様々な色調の表現が可能
なお、三原色のうち「青」を使わないのは、「飯画」にほぼ必要ない色だから…のようです。
この日の参加者は、全員女性
先生は画像内のセリフのように、お化粧に例えてわかりやすく表現されていました。
そう確かに、絵にもメイクにも共通するものがあります。
ぬりえが上達すれば必然的にメイクも上手になるはず
皆様、夢中で取り組んでいます。
小学生の方が3名いらっしゃいましたが、みんなお上手
絵が大好きなのがよく伝わってきます
隣り合わせになった色同士はなじませ、ナチュラルに…
グラデーションはリアリズムを出すために不可欠。
なお先生のご指導では、「白」の色えんぴつも使いませんでした。
「白」の表現に関しては、「白い用紙の地色を残す」か「消しゴムで色を消す」という方法で行っていました。
ネギの着色の際、先生は飯画制作における重要なポイントに言及されたと思います
(画像内のセリフ↓ご参照のこと)
キレイ過ぎるネギの緑を茶色で汚してリアル感を出す。
それにより、「ニセモノのネギを本物にする」と…
これは…メモ必須ですね
つまり…「茶」は、リアルな飯画に不可欠な色。
この極意が伝授された瞬間を、当館スタッフは見逃しませんでした
そして「茶色」といえば…当館スタッフは、こうも思っています。
「本当に旨い食べ物は、たいてい茶色だ」と。
めしが先生が「青」色えんぴつを飯画に使わない理由は、このへんにあるような気がするのです
Instagram流行の初期は、ただただ色鮮やかな「映え」がもてはやされたものです。
しかしそのインスタ界でさえ、そろそろ中身志向な「茶色い料理写真」投稿が増えはじめているとか…
もしや茶色の時代が到来しているのか
色えんぴつ画の場合、塗る時のペン遣い次第で、様々な色調や質感の表現ができます。
たとえばカマボコの縁のピンクの部分を塗る時も、わざわざ「ピンク」の色えんぴつを使う必要はない。
「赤」えんぴつを繊細に操ることにより、ピンクを表現する。
まずはこうした表現技術を身につけることが大事なので、めしが先生は色えんぴつを画材に選定されたのです
さあ、ぬりえ教室ももう終盤…
↑
この画像の右に写っているのが、めしが先生のお手本。
それを見ながらぬりえに取り組んでおられる方の作品(左)も…う~ん、素晴らしい出来です
きつねうどんを入念に塗りこんでいる方々がいる一方、早くも別のページの制作(ウナギ蒲焼も茶色くておいしそう)に進んでいる方も…
皆様それぞれですね
そして…作品完成
最後に、できあがった作品を鑑賞し合いました
どれもとてもよい作品に仕上がっていました
めしが先生のユーモラスなキャラクターに触れ、皆様楽しそう
ワークショップは和やかな雰囲気のうちに終了しました
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子どもの頃から、絵を描くことも食べることも好きだっためしが先生。
そして自分が食べること以上に、料理を作るのがもっと大好きだというめしが先生。
「祖母も母も料理好き」ともおっしゃっていました。
食べ物への愛情、料理を食べてくれる相手への愛情に満ちたご家庭だったのですね
めしが先生のご家庭で代々受け継がれた愛情は、先生ご自身が苦手だという食材(イクラとか)さえもおいしそうに描き上げていることからも窺い知れます
この食と人への愛こそが、飯画のルーツなのに違いありません
「食」は「文化」であり、「食」は「芸術」である
当館もそのように、カルチャーやアートとしての「食」のもつ可能性に思いを馳せることはありました。
しかし残念なことに、アート・キューブには調理室の設備がない…
ゆえにこれまで、食にまつわる文化芸術活動にはご縁のなかった和歌の浦アート・キューブ
しかし山田めしが先生の切り拓いたこの「飯画」というアート分野をもってして、ついに食とアートは手を取り合いました
そしてこのたびアート・キューブD1展示室に、飯画の光が燦然と降り注ぐこととなったのでした
この「リアルな飯画展」および「リアルな塗り絵教室」…
山田めしが先生のご協力の下、またアート・キューブで開催させていただく予定です
今回、展示会場内でのワークショップ同時開催ということで、最終日は会場が手狭な感じでした。
(今回はテレビ取材もあったし、我々スタッフの動きがご来場者様の会場への出入りのお邪魔だったかも)
来年度はそうした点を改善し、さらにパワーアップした展示会&ワークショップにしたいと考えております
どうぞ次回の「飯画」もご期待くださいね
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さて、前述のめしが先生直伝レシピで作ってみた煮卵はこれです
いかがでしょう
先生の煮卵飯画とそっくりな出来上がりで大満足です
先生のお話し通りに書き出したレシピはこれ
↓
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皆様もぜひ
Posted by 和歌の浦アート・キューブ at 11:13│Comments(0)
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