2019年03月18日

かぐわしき桃源郷へのオマージュ…



ここ数日は寒の戻りで、風の冷たさが身にしみる日々でしたねicon04
しかし3月も半ばとなり、もう春のお彼岸を迎えました。
間もなく暖かくなりそうです。
しばらく前から、早春を告げるジンチョウゲの花の清澄な芳香が、出勤途中のわたくしC職員の鼻孔をくすぐってくれますik_89ik_09
ま、春の大気には花の香だけでなく、スギ花粉やらPMなんとかも満ち満ちているので、手放しで喜べはしない季節なのですが…




アート・キューブ事務所の受付カウンターのディスプレイも、春に模様替えしておりますicon06

かぐわしき桃源郷へのオマージュ…



これは昨春、うちの折り紙美女シスターズの末っ子・V職員が作った、華やかな花のリースicon12
かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
そこに、C職員が作ったナナホシテントウとナミテントウがくっついています。
テントウムシが嬉しげに寄ってくるということは、もしやエサとなるアブラムシが発生しているのでしょうかface03
しかしこのテントウムシ、糊付け等で固定はせずひっかけているだけなので、よくポタッと落下するのです。
その姿はまるで、アブラムシを食い尽くして餓死したように見えます…
もしご来館時に悲しいテントウムシの死を目撃してしまったら、その隣に置いている美しいハーバリウム(アート・キューブ利用者さまがくださったものですicon12)に目を移して頂き、その恒久的な美にどうぞ心を癒されてくださいik_21




ディスプレイの下の段には、C職員が試みに作った桃の花が地味~に咲いておりますicon15
かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
この作品のモデルは、ネット検索して見た桃の花の画像。
でも可能ならば、他人が撮った画像じゃなくて、実物の桃の花をこの目で観察したかったんですがね~…
残念ながら、現代の暦では3/3はまだ桃は全く咲いていない時期なので、制作時は実物を見ることはかないませんでしたicon07
お雛様用の八重咲きで丸っこい花桃はお店で売られていましたが、C職員がモデルにしたい桃の花は、あれではなかったのですik_81


このC職員の制作した桃、材料は何かというと…
枝だけは本物の植物のそれを利用しましたが(我が家の庭の、ジューンベリーという北米原産バラ科木本)、他のパーツは全て、アート・キューブ事務所や自宅をひっかき回して出てきた半不用品を使用。
これはC職員の、アート・キューブ職員としての「その辺に落ちているゴミから、何か芸術を生み出せないものかik_19」という、果敢な挑戦なのでしょうか??
イマイチどこに向かっているのかわからないC職員のゴミアートですが、せっかく作ったので、年末の『門松作りレポート』同様、申し訳ありませんが作り方を長々と記載させて頂きますik_20





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~~~~~  材  料  ~~~~~



 ・ 花びら … ラッピング用ピンク色の不織布 (数年前からC職員自宅の押入れでシワシワになっていた)
 ・ めしべ&おしべ … 釣り糸 (上司の私物だったろうか?)
 ・ 葉 & 咢 … コンビニでもらった紙おしぼり (数か月放置していてガビガビに乾燥してしまったもの)
 ・ 花柄 … 枯れた松葉 (アート・キューブ事務所前の木から落ちて散らばっているもの)
 ・ 枝 … ジューンベリーの枯れ枝(C家で採取)

   下の写真の右から、花びら、花柄にする松葉、咢、下にあるのはめしべ。
   かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
   紙おしぼりの染色工程とかも撮っておけばよかったかしら?
   作り方を載せると豪語する割には、どうにも記録が中途半端でいけませんなface04







~~~~~  制 作 方 法 と 手 順  ~~~~~





◎◎◎  花 づ く り  ◎◎◎




 ★ 花びら ★

 ① 不織布を花びら型にハサミで切り抜く
   (5枚×作りたい花の数)
 ② 花びらの根本を色鉛筆で濃く塗る
    不織布素材が元々濃いめのピンク色だったので(本当はもっと薄桃色の素材が
    欲しかったのだけどicon10)、私が色づけしたのは花びらの根本部分だけです。
    花の中心部にあたるその部分が濃赤紫なのが桃花の特徴だし、グラデーション
    表現によって立体感も演出されます。
 ③ 花びらのタテ半分に折り癖をつける
    これも、花びらに立体感を出すためです。




 ★ 花の咢 ★

 ① コンビニ紙おしぼりを、アクリル絵の具の水溶液に漬けて緑に染色
 ② それを咢の形にハサミでカット
 ③ 赤紫の色鉛筆で着色して色にニュアンスを出す
 ④ 丸く輪にして接着剤で留める
    この咢の「色」なのですが…モモ、サクラ、ウメなどの仲間のそれは、実は緑色ではなく、
    鮮やかな赤紫色をしている場合が多いのです。
    その実物の色合いを忠実に再現すべきか、あるいはもっと緑味を強くしたほうが「私は咢icon22」と
    雄弁に語ってくれるのだろうか…と迷った末、後者を選んだC職員でした。




 ★ めしべ と おしべ ★

 ① 釣り糸を、油性マジックでピンクに塗る
 ② 適当な長さにカット(おしべより、めしべを少し長くする)
 ③ 先端に絵の具で着色して、花粉やボリューム感を表現
 ④ おしべにテンションをかけ、カーブさせる
   工程③は、絵の具が垂れてしまってうまくいきませんでした。
   絵の具を塗って何本も並べて置いていると、なんか…「カゲロウの卵みたいだな」と思ったC職員。
   かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
   工程④は、めしべを囲んで放射状に生やすため、カーブをつけたかったのです。
   ピンセットで挟んでクイックイッとテンションをかけました。
   実に地味で単調な作業です。
   だんだん自分が、傘張りやちょうちん作りの内職をしている下級武士のような気が
   してきましたface07




 ★ 花柄 ★

 ① 松葉を適当な長さにカットする
 ② 後の「組み立て」の工程で、咢の真ん中に挿入して接着する
   「花柄(かへい)」とは、木の枝と花をつなぐ細い軸のような部分で、桃は短く、桜は長く
   (サクランボの「茎」は長いですよね)、梅にはほとんどありません。




 ★ 葉 ★

 ① 素材をハサミで葉の形にラフに切り抜く
 ② 鋸歯(葉のフチのギザギザ)をハサミで作る
 ③ 色鉛筆で葉脈を描く
 ④ 数枚作った葉をランダムにまとめ、接着する
   葉の素材は、咢と同じです。
   葉は花みたいに部品がいろいろないので、短時間でできました。
   でも色はやっぱり、もっとキレイな緑色にしたほうが、本物の桃の葉に近かったのになあ…icon10






◎◎◎  花 の 組 み 立 て  ◎◎◎


 ① 咢の真ん中にキリで穴を開け、花柄(松葉)を突っ込んで、多めの木工用接着剤で固定
 ② めしべを1本、咢の穴から花柄に挿し込む
   枯れた松葉はクルッと巻いてストローみたいになっているので(完全な管状ではないが)、
   その穴にめしべを突っ込むような感じです。
   かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
 ③ 接着剤が乾く前に、素早く花びらを5枚、下画像のように咢に取り付ける
   かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
 ④ めしべの根本を起点として、放射状におしべを植えていく
   この作業には、ピンセットと瞬間接着剤が不可欠。
   普通の接着剤では、思うようにピンと立ってくれないのですicon14icon14icon14
   かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
   おしべは1つの花につき、私は5~6本しか作りませんでした。
   本当は何十本もあるはずですが、そんなにいっぱい作るのは面倒だったもんで…
   あ、そしてこのおしべたち、めしべより長いではありませんかicon10
   これはおかしいので、後から先端をハサミで切って短くしてやりました。
   あっ、切ったら、せっかく絵の具で塗った花粉部分がなくなりました…face10





◎◎◎  パ ー ツ の 枝 へ の 取 り 付 け  ◎◎◎  


 ① 出来上がった花、つぼみ、葉を、ジューンベリーの枝に植えていく
    桃の花柄は非常に短いので、花組み立て時にはまだ長かったそれを、
    ちょうど良い短さにカットしてから取り付けます。
    桃は、一節に2輪の花を咲かせるので、枝の一か所に花を2つずつ並べて
    付けました。
    (ちなみに梅は一節に1輪ずつ、桜は複数輪咲きます)
    そういえば、つぼみの制作工程は割愛しましたが、意外につぼみは苦戦しました。
    不織布同士は接着剤でうまくくっついてくれないので、花びらをクルクル丸めて
    くっつけようとしてもダメで、手にへばりついてきてグチャグチャになったりしましたface07
 ② 葉も植える

    パーツ取り付け作業には、瞬間接着剤が必須でございました。
    これは絶対、普通の木工用ボンドでは無理!
    そして、花や葉の、「枝への付け具合」なのですが…
    これはやはり、自分の目で本物の枝ぶりを観察しないと、
    イマイチ桃の「花の付き方」「葉の生え方」の特徴がわかりません。
    わからないまま作ったため、結構テキトーにしか付けておりません…

かぐわしき桃源郷へのオマージュ…






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以上が、C職員の編み出した桃の花づくり法でございますicon10


制作の労力の割に、なんとも地味なものが出来上がりました…
実に、地味変人のC職員らしい作品と言えましょう。
仕事の手が空いた時や、夜の勤務当番の時にチマチマと制作していたため、なんだか一カ月くらいかかったようなface08


作品の説明書きも手書きで作って、横に置いています。
かぐわしき桃源郷へのオマージュ…
このぎこちない書きっぷりが「いかにも素人の手書き」らしいというか、もう平成も終わろうという中で昭和的なセンスが漂っているというか…ik_88




このC職員が作った桃の花…
私のこの制作品は、果たして「アート」なのでしょうか??
仮に人工的に、どんなに精巧に花の細部を造り得たとしても、「本物の生きた花の美には到底及ばない」とC職員はつくづく思うのです。
あの、生命を持った植物のかぐわしさ、しなやかさ…
華やかでありながらこの上なく繊細で、そっと触れた時の花びらの感触は指にまとわりつくように官能的で…
命ある花が一輪そこに微笑んでいるだけで、人は、魂が震えるほどの感動をおぼえることさえあります。
そんな花の持つ美しさとは…即ち、生命そのものが発する魅力なのではないのでしょうか。
ならば、それを人間の手で完全に再現できるわけはなく、また再現しようとすることに一体何の価値があるのか?と思ってしまいます。
C職員の作った花の横に本物の桃の花を並べたならば、C職員花は本物の花の美に打ちのめされ、首をくくって自害するやもしれませんik_00
とは言え、そもそも芸術の根源とは、空や海、動植物といった自然物の美しさから得た霊感の閃きであったり、人間同士あるいはその他のものとの情愛がもたらした啓示であったり…
そうした有機的な、血の通った事物事象こそが、すべての芸術の発露ではないのでしょうか?
C職員の場合、どうにも物ごとを抽象化する作業が苦手なので、本物の花の繊細さにただただ魅せられ、その天衣無縫の美に憧れ、それを「そのままに」表現したくなってしまったのです。
それが、この地味などーしようもなさの原因なのですね~…
表現力が自然物に及ばず、また、美の根源たる生命を人工物が宿すことがあり得ない以上、結果としてこれは実に無為なあがきなのかもしれませんicon07
でも、花への讃歌を奏でんとしたわたくしのこの純粋な熱情が、芸術に向かう一過程であることだけは確かであると考えますicon21
そう信じましょうぞicon10
う~ん、しかし…
C職員もこれからは、V職員の花のリースみたいな、展示し甲斐のある華やかで絵になる作品を目指してみたくもあります…face06





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